富山県氷見在住の魚料理研究家「昆布」による連載コラムvol.11
東京に遅れること2週間、ようやく氷見の桜もちらほらとつぼみを付け始めました。
雪国の開花宣言はもう少し先のようですが、待ち遠しく感じるぐらいがなんだか幸せなような。近頃は晴れの日が多くなり、富山湾がより一層青く眩く見えるようになってきました。ちょうど一年前、この海の近くでお店を開店した時もこんな景色が広がってたっけ。
この一年、魚料理専門店の営業を通して毎日のように魚に触れてきました。慣れ親しんだアジやサバなどの大衆魚から、どうやら富山湾に迷い込んでしまったような南方系の魚まで。その中でも特に、春のイワシ、夏のメジマグロ、秋のカマス、冬のメダイは脂乗りが素晴らしく、口に入れた途端感動を覚えるような味わいでした。
そんなお魚たちにまた逢う日が待ち遠しい。今年も豊漁を祈りながら、せっせと営業を続けていきましょう。皆々様、どうぞご贔屓に。
一気に押し寄せてくる、春の旬な食材たち
さて今年はイワシの群れが早めに収束しつつあるようで(去年はGW前まで続いていたような)、他の春の魚が獲れ始めています。先日の大漁の際は、サワラや真鯛、メバルやイサキなど様々な魚が魚屋さんに並んでいました。そして山からも春の便りが。セリやフキノトウなどの山菜が直売所に並び始め、もうしばらくすればコゴミやタラの芽が出てくる気配も。一気に旬の食材が押し寄せてくるようで、嬉しい反面、食材を活かすべく毎日新メニューの開発に追われています。
先日まで春の食材たちを今か今かと待っていたのですが、気がつくと一瞬で追い抜かれて逆にお尻を叩かれているような感覚。この旬食材千本ノックを乗り越えた先には、当店の新たな目玉メニューがあると信じて今日も根気強く試作していきます。さて、もうひと踏ん張り!
今回はそんな旬の白身魚と山菜を使った春らしいメニューをご紹介
材料
・白身魚(内臓・エラをとったもの) 1尾
・セリ 1束
・ニンニク 1片
・白ワイン 大さじ4
・水 大さじ2
・オリーブオイル 適量
・塩 適量
作り方
❶白身魚は皮に切れ込みを入れたら全体に塩を振り、10分ほど置いたら水気をふき取る。セリは5㎝程度に切り、ニンニクは薄切りにする。
❷オリーブオイルとニンニクをフライパンに入れ、弱火でニンニクの香りが出るまで炒めたら、白身魚を入れて両面軽く焼き目が付くまで焼く。
❸セリを加えて白ワインと水を回しかけ、蓋をして5~6分蒸す。
❹皿に盛って、仕上げにオリーブオイルを回しかけたら出来上がり。
セリの食感と香りが白身魚の旨味を引き立てます。どうぞお試しあれ。
魚料理研究家【昆布】
魚料理研究家。本名: 近森光雄、1993年東京都下町生まれ。
大学卒業後、魚屋に3年半勤務。旅行で訪れた富山県氷見のあまりにも新鮮な魚に一目ぼれし、2019年10月氷見へ移住。
地元の魚屋・漁師・料理人と語らいながら、日々魚料理の新たな可能性を素材と調理法の両面から研究中。
サウナを愛するあまり、スーパー銭湯の近くに住んでいる。