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富山県氷見在住の魚料理研究家「昆布」による連載コラムvol.3

2年ほど前から、私は富山県の氷見に住んでいます。

全国的には、「氷見ぶり」というブランド魚が獲れる土地として有名です。
富山県内ではそれに加えて、良質な海水浴場があるエリアとしても知られています。

氷見にいくつかある海水浴場は水質もよく、比較的穏やかな波が特徴です。
キャンプ場が併設されている場所もあり、夏になると多くの海水浴客が家族連れで訪れます。

ほとんどが県内の方ではありますが、今年も徐々に観光客が増え、町が活気を取り戻し始めました。
来年は県外の方を含め、より多くの方が氷見に来ていただけたら良いなと、あまりにも青い海を眺めながら思います。

イカを使った、魚が獲れないときの「非常魚食」

さて、8月は人が増えるものの、魚は減る季節。
海水温が上がることで魚が本来の漁場を回遊しなくなり、漁獲量が年間で最も少なくなる季節です。

氷見では、8月は漁師さん達も網を上げて休業してしまったり、市場もお盆休みに入ります。魚屋さん達は、そんな状態を「夏枯れ」と呼びます。そんな時でも、肉ではなくやっぱり魚介類が食べたい!という方には、「イカ」を冷凍することをおすすめします。

イカは種類は変わっても、年間を通して安定的に漁獲される海の幸。夏の漁獲が鈍る時期でも、まれに大漁!となる日があります。

そんな時に価格がお手ごろになったイカをまとめ買いして、内臓や皮を取ってから冷凍しておきます。
イカは冷凍すると約1か月は日持ちしますし、使う前日に冷蔵庫に移しておくだけで、翌朝には解凍が完了し、そのまま料理に使うことができます。
更に、冷凍することで身の繊維組織が壊れて、食感が軟らかくなり非常に食べやすくなるのです。
魚が獲れないときの、「非常魚食」。ぜひお試しあれ。

今回はそんなイカを使ったサッパリレシピ。「イカと玉ねぎのマスタードマリネ」

・イカ1杯
・新玉ねぎ 1個
・粒マスタード大さじ3
・エキストラバージンオリーブオイル大さじ3
・酢大さじ1.5
・砂糖大さじ1
・黒胡椒適量
・塩 適量

❶イカは胴とゲソを分け、銅は皮を剥いて薄切り、ゲソは小さく切り分けます。
 新玉ねぎは薄くスライスします。

❷沸騰したお湯に新玉ねぎを入れて中火で2分ほど茹でたら取り出し、
 冷めたら手で絞って水分を切ります。

❸そのままのお湯でイカを茹で、30秒ほど茹でて半生の状態で取り出したら、
 ザルで水気を切りつつ余熱で火を通します。

❹新玉ねぎとイカをボウルで和え、調味料を全て合わせたソースを加えて、
 全体に絡むまで良く混ぜ、30分ほど置いて味がなじんだら出来上がり。

イカの食感とマスタードの酸味が楽しい一品。
パンに乗せても、白ワインに合わせても。暑い日には、しっかりと冷やして食べるのがおススメです。

魚料理研究家【昆布】

魚料理研究家。本名: 近森光雄、1993年東京都下町生まれ。

大学卒業後、魚屋に3年半勤務。旅行で訪れた富山県氷見のあまりにも新鮮な魚に一目ぼれし、
2019年10月氷見へ移住。地元の魚屋・漁師・料理人と語らいながら、日々魚料理の新たな可能性を素材と調理法の両面から研究中。

サウナを愛するあまり、スーパー銭湯の近くに住んでいる。